前回はグレートヴィンテージ、つまり傑出した気象条件の年のワインの味わいについて解説しましたが、今回はなぜ傑出した気象条件の年が生まれるのかについてお話します。
傑出した味わいのワインを生み出すには理想的な糖度と酸度を持ち様々な成分をギュッと凝縮したブドウが必要となります。
この様なブドウが出来るためには、ブドウの生育期間(北半球では4月~10月、発芽・新梢の成長・開花・受粉・ブドウの成熟・収穫)に十分な日照量・気温や適度な降水量に恵まれ、霜害・干ばつ・雹・長雨による結実不良などの気象による悪条件や害虫や害獣による被害を受けないなど様々な条件が必要となります。
これらの条件がすべてか、すべてに近い状態でそろった時にグレートヴィンテージが生まれるのです。
それぞれの条件はほぼ独立した事象ですのでこれらの条件がすべてそろうという事は、無数のサイコロをいっせいに振ってすべての目が6になるような奇跡的な確率なのです。
すべての偉大な生産者たちは毎年自分たちに出来る最高の作業を続けながら人事を尽くして天命を待っているのです。
どんなに科学が発達しても自然を100%コントロールすることは不可能な事をグレートヴィンテージが数十年に一度起こる事で自然は私たちに教え諭していると私は考え、奇跡の瞬間を味わいます。
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